どうも!ともすけです。フリーランスエンジニア歴8年で、普段はWeb系システムのバックエンド開発をしています。
今回は、フリーランスエンジニアの節税対策としてよく出てくる小規模企業共済について書いてみます。
フリーランスは、会社員のような退職金がありません。
そのぶん、自分で将来のお金を準備していく必要があります。
そこでよく候補に上がるのが小規模企業共済です。
ただ、実際にはこんなふうに迷う人も多いと思います。
- 小規模企業共済って本当に得なのか
- 節税になるのはわかるけど、受取時に税金がかかるなら意味が薄いのではないか
- 年収1,000万円くらいだと、どれくらい節税効果があるのか
- フリーランスエンジニアでも入る価値はあるのか
僕も最初は、このあたりがかなり気になっていました。
制度の説明だけ読むと良さそうに見えるんですが、フリーランスとして実際にお金を管理していると、節税額の根拠や、資金繰りとのバランスまで見ないと判断しにくいんですよね。
この記事では、年収1,000万円・毎月7万円・30年間継続という前提で、小規模企業共済の節税効果を整理します。
あわせて、受取時の税金、向いている人、注意点、僕自身が続けていて感じることまでまとめます。
ちなみに僕自身も、小規模企業共済には年84万円で満額納付しています。
なので、制度の説明だけではなく、フリーランスとして実際に使っている感覚も交えながら書いていきます。
- 結論|小規模企業共済は年収1,000万円のフリーランスにとって有力な節税対策
- 小規模企業共済とは?フリーランスエンジニアにも使える退職金制度
- 年収1,000万円で小規模企業共済を30年満額で払うと掛金はいくらになるか
- 小規模企業共済の節税効果はどれくらい?年84万円で毎年約28万円の根拠
- 小規模企業共済は受取時に税金がかかる?一括受取と分割受取の違い
- 小規模企業共済の節税メリット732万円は保守的な試算
- 実体験|フリーランスエンジニアとして小規模企業共済を満額で続けて感じること
- 小規模企業共済が向いている人
- 小規模企業共済の注意点|向いていない人もいる
- フリーランスエンジニアが小規模企業共済を始めるときの考え方
- まとめ|小規模企業共済はフリーランスの節税と退職金準備を両立しやすい制度
結論|小規模企業共済は年収1,000万円のフリーランスにとって有力な節税対策
結論からいうと、年収1,000万円クラスのフリーランスエンジニアにとって、小規模企業共済はかなり有力な節税対策です。
今回の前提では、30年間満額で続けると、受取時の税金まで含めても約732万円のメリットが見込めます。
しかもこれは、かなり慎重に見た数字です。
ただし、誰にでも最初から満額がおすすめというわけではありません。
資金繰りに無理のない範囲で、長く続けられるかどうかが大事です。
小規模企業共済とは?フリーランスエンジニアにも使える退職金制度
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者が、廃業後や引退後に備えて積み立てる制度です。
フリーランスにとっては、会社員でいう退職金に近い仕組みと考えるとわかりやすいです。
制度の概要は、中小機構の公式ページでも確認できます。
小規模企業共済とは(中小機構)
掛金は月1,000円から7万円まで設定できます。
しかも、加入後に増額や減額もできます。
なので、最初から満額で始めなくても大丈夫です。
ここは、フリーランスにとってかなり助かるポイントだと思います。
小規模企業共済の最大のメリットは掛金が全額所得控除になること
小規模企業共済のいちばん大きな強みは、掛金が全額所得控除になることです。
中小機構の公式サイトでも、掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になると案内されています。
小規模企業共済の特徴(中小機構)
つまり、払った掛金ぶんだけ課税所得が下がります。
その結果、所得税・復興特別所得税・住民税が軽くなります。
ただ積み立てるだけではなく、節税しながら将来のお金を準備できる。
ここが、小規模企業共済がフリーランスの節税対策としてよく挙がる理由です。
年収1,000万円で小規模企業共済を30年満額で払うと掛金はいくらになるか
今回の前提は、毎月7万円を30年間積み立てるケースです。
- 7万円 × 12か月 = 年84万円
- 84万円 × 30年 = 2,520万円
つまり、30年間の掛金総額は2,520万円です。
数字だけ見ると、かなり大きいです。
なので、小規模企業共済は気軽な貯金というより、長期で積み立てる前提の制度として考えたほうがいいです。
節税メリットは大きいですが、生活費や事業資金まで無理に回すものではありません。
手元資金に余裕があることが前提です。
小規模企業共済の節税効果はどれくらい?年84万円で毎年約28万円の根拠
ここは、読者がいちばん気になりやすいところだと思います。
今回の想定では、年収1,000万円のフリーランスエンジニアを前提にしています。
フリーランスの場合は、ここから経費や青色申告特別控除、各種所得控除が差し引かれるため、課税所得はざっくり700万円台前半〜800万円台前半くらいになるケースが多いです。
このあたりの課税所得であれば、所得税は23%のゾーンになります。
国税庁の税率表では、課税される所得金額が695万円超900万円以下の場合、所得税率は**23%**です。
所得税の税率(国税庁)
そのため、小規模企業共済の掛金84万円が全額所得控除になると、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて、毎年約28万円の税負担軽減が見込める、という前提で考えています。
フリーランスエンジニアの経費がどれくらいかかるのかは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
フリーランスエンジニアの経費率はどれくらい?年収1000万円の実例でわかるリアルなお金の話
約28万円の計算方法
小規模企業共済は、払った掛金がそのまま所得控除になります。
つまり、年84万円払うと、その84万円ぶんだけ課税される所得が減ります。
この考え方は、中小機構の節税シミュレーションの説明でも確認できます。
共済金試算シミュレーションについて(中小機構)
今回の前提では、所得税率は23%の帯で見ています。
さらに、所得税には復興特別所得税が上乗せされるため、所得税まわりの実質税率は
23% × 1.021 = 約23.48%
になります。
復興特別所得税については、国税庁の案内も参考になります。
復興特別所得税の概要(国税庁)
ここに住民税の**10%**を足すと、
- 所得税・復興特別所得税:約23.48%
- 住民税:10%
合計で、
約33.48%
です。
これを掛金84万円にかけると、
84万円 × 33.48% = 約28.1万円
になります。
なので、今回の記事では
「年84万円の掛金に対して、毎年約28万円の税負担軽減が見込める」
という前提で話を進めています。
30年間続けると節税額は約844万円になる
この約28万円が毎年続くとすると、
約28万円 × 30年 = 約844万円
です。
つまり、掛けている間だけで約844万円の節税になります。
小規模企業共済の魅力は、運用益よりもまず現役時代の所得控除の大きさにあります。
特に、利益がしっかり出ているフリーランスエンジニアほど、このメリットは感じやすいです。
ただし節税額は人によって変わる
ここは大事なんですが、約28万円は誰にでも当てはまる固定の数字ではありません。
たとえば、所得税率20%の帯にいる人なら節税額はもう少し小さくなります。
逆に、もっと高い税率帯にいる人なら、節税額はさらに大きくなります。
税率表は国税庁で確認できます。
所得税の税率(国税庁)
なので、この約28万円は、
「年収1,000万円前後のフリーランスで、課税所得が23%の税率帯に入るケースの目安」
として見るのが自然です。
小規模企業共済は受取時に税金がかかる?一括受取と分割受取の違い
小規模企業共済は、受け取るときに無税ではありません。
ここは、あらかじめ知っておいたほうがいいです。
ただし、税制上はかなり優遇されています。
中小機構の案内では、一括受取は退職所得、分割受取は公的年金等の雑所得として扱われます。
共済金の受け取りについて(中小機構)
特に有利なのは、一括受取です。
一括受取だと退職所得控除が使え、控除後の残額は原則として2分の1課税になります。
30年加入なら退職所得控除は1,500万円
退職所得控除は、勤続年数20年超なら
800万円 + 70万円 ×(年数 – 20年)
で計算されます。
30年加入なら、
800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円
です。
この計算方法は国税庁のページにまとまっています。
退職金と税(退職所得控除)(国税庁)
今回のように、30年加入して、かなり保守的に受取額を掛金総額と同じ2,520万円と仮定すると、
- 受取額:2,520万円
- 退職所得控除:1,500万円
- 差額:1,020万円
- その2分の1が課税対象:510万円
となります。
受取時の税金が約111万円になる理由
ここも、数字の根拠があったほうがわかりやすいと思います。
上で計算したとおり、課税対象になる退職所得は510万円です。
この510万円に対して所得税を計算すると、国税庁の税率表では330万円超695万円以下は20%、控除額は42万7,500円なので、
510万円 × 20% − 42万7,500円 = 59万2,500円
となります。
この税率と控除額は、こちらで確認できます。
所得税の税率(国税庁)
ここに復興特別所得税を加えると、
59万2,500円 × 1.021 = 約60.5万円
です。
さらに、住民税は一般的に**課税退職所得金額 × 10%**で考えるので、
510万円 × 10% = 51万円
です。
すると、
- 所得税・復興特別所得税:約60.5万円
- 住民税:約51万円
となり、合計で
約111.5万円
です。
なので、本文では
「受取時の税金は約111万円程度」
としています。
この前提でも、掛けている間の節税約844万円からこれを引けば、
844万円 − 111万円 = 約732万円
となり、十分大きなメリットが残ります。
小規模企業共済の節税メリット732万円は保守的な試算
ここで出した約732万円という数字は、かなり控えめに見ています。
なぜかというと、今回の計算では、30年後に受け取る共済金を「掛金の合計額と同じ2,520万円」と仮定しているからです。
つまり、30年間積み立てても利息がまったく付かない前提で計算しています。
でも実際の小規模企業共済は、ただ積み立てたお金がそのまま返ってくるだけではなく、利息のように少し増える仕組みがあります。
制度の概要は、こちらでも確認できます。
小規模企業共済の特徴(中小機構)
なので、本来は受取額が2,520万円より増える可能性があるのに、今回はあえて利息が付かないものとして計算しています。
そのため、今回の約732万円という数字は、楽観的な見積もりではなく、むしろ低めに見た目安です。
もちろん、将来どれくらい増えるかはその時点の条件によって変わります。
ただ、少なくとも今回の試算は、かなり安全側に寄せた数字として見るのが自然です。
実際の受取額の目安は、中小機構の公式シミュレーションで確認できます。
共済金試算シミュレーションについて(中小機構)
小規模企業共済 共済金試算シミュレーション
実体験|フリーランスエンジニアとして小規模企業共済を満額で続けて感じること
僕自身も、小規模企業共済には年84万円で満額納付しています。
実際にやっていて感じるのは、小規模企業共済の価値は節税だけではない、ということです。
むしろ、将来資金を仕組みで残しやすいことが大きいと感じています。
フリーランスって、売上が立つと手元資金が厚く見えます。
すると、「今年はちょっと使ってもいいか」となりやすいんですよね。
でも、退職金のように長期で残したいお金は、日々の判断の中で後回しになりやすいです。
そのたびに意思の力だけで守るのは、正直けっこう難しいです。
その点、小規模企業共済は、毎月積み立てながら所得控除も取れます。
だから、「節税のためにやっていたら、結果として将来のお金も残っていた」という形にしやすいです。
小規模企業共済が向いている人
小規模企業共済が向いているのは、ある程度しっかり利益が出ていて、毎年税金を払っている人です。
やはり、この制度の強さは所得控除にあります。
なので、税率が高い人ほど効果を実感しやすいです。
特に、フリーランスエンジニアとして何年かやってきて、売上や所得が安定してきた人には相性がいいと思います。
「節税もしたいけど、将来の退職金っぽいお金も準備しておきたい」という人には向いています。
また、貯めるのがそこまで得意ではない人にも合いやすいです。
仕組みで積み立てられるので、将来のお金を後回しにしにくくなります。
小規模企業共済の注意点|向いていない人もいる
一方で、注意点もあります。
まず、小規模企業共済は短期で出入りする制度ではありません。
何年もかけてじわじわ効いてくる制度なので、「少しだけ入って様子を見る」という使い方だと、思ったよりメリットを感じにくいことがあります。
また、受け取るときは非課税ではありません。
一括受取なら退職所得、分割なら公的年金等の雑所得です。
なので、入口だけでなく出口まで見て考えることが大事です。
制度面の説明は、こちらも参考になります。
小規模企業共済の特徴(中小機構)
そして、いちばん現実的な注意点は、生活防衛資金まで削ってやらないことです。
フリーランスは、案件終了や単価変動、体調不良の影響を受けやすい働き方です。
だから、節税メリットが大きいからといって、手元資金を薄くしてまで満額にするのはおすすめしにくいです。
フリーランスエンジニアが小規模企業共済を始めるときの考え方
まずやること|無理なく積み立てられる金額を確認する
最初にやることは、自分がいくらまでなら無理なく積み立てられるかを確認することです。
いきなり「満額7万円でやるべきか」を考えなくて大丈夫です。
まずは、
- 年間でどれくらい利益が残っているか
- 毎年どれくらい税金を払っているか
- 生活防衛資金はどれくらいあるか
このあたりをざっくり整理してみてください。
そのうえで、「毎月いくらなら3年、5年と続けられそうか」を考えるのが先です。
最初から満額である必要はありません。
次にやること|シミュレーションで受取額と税金の感覚をつかむ
次にやるといいのは、中小機構の共済金試算シミュレーションを使って感覚をつかむことです。
中小機構は、このシミュレーションで将来受け取れる共済金と加入後の節税効果を試算できると案内しています。
共済金試算シミュレーションについて(中小機構)
公式シミュレーションはこちらです。
小規模企業共済 共済金試算シミュレーション
月額いくらで、何年積み立てたら、どれくらい受け取れそうか。
このへんは、自分で数字を入れてみるとかなりイメージしやすくなります。
あわせて、受け取り方も先に考えておくと判断しやすいです。
一括で受け取るのか、分割にするのか、併用するのかで税の扱いが変わるからです。
無理にやらなくていいこと|最初から満額にすること
逆に、無理にやらなくていいのは、今すぐ満額にすることです。
売上がまだ不安定な時期や、独立したばかりで手元資金が心もとない時期は、少額から始めるか、いったん見送るのでも十分ありです。
大事なのは、制度のメリットだけを見ることではなく、自分が気持ちよく続けられるかだと思います。
毎日の生活が苦しくなるほど無理をするより、余裕のある範囲で将来に回していくほうが、長い目で見ると続きやすいです。
まとめ|小規模企業共済はフリーランスの節税と退職金準備を両立しやすい制度
この記事のポイントは以下の通りです。
- 小規模企業共済は、フリーランス向けの退職金制度としてかなり優秀です。
掛金は月1,000円〜7万円で設定でき、全額が所得控除になります。節税しながら、将来のお金を準備できるのが大きな強みです。
小規模企業共済の特徴(中小機構) - 年収1,000万円で30年満額なら、受取時の税金まで含めても700万円超のメリットが見込みやすいです。
今回の前提では、掛けている間の節税が約844万円、受取時の税金が約111万円で、差し引き約732万円のメリットが残る計算です。
所得税の税率(国税庁)
退職金と税(国税庁) - ただし、誰でも最初から満額が正解というわけではありません。
所得が高く、長期で積み立てられる人には向いていますが、資金繰りに余裕がない人は無理をしないほうがいいです。少額から始めて、続けられる形にするほうが現実的です。
小規模企業共済はかなり地味な制度です。
でも、フリーランスのように退職金制度を自分で作る必要がある働き方では、こういう地味で堅実な仕組みがあとから効いてきます。
ただし、目先の生活を削ってまで無理をする必要はありません。
毎日をちゃんと楽しく過ごしながら、余裕のある分で将来に備えていく。その選択肢のひとつとして、小規模企業共済はかなり有力だと思います。


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